気象予報士2670号(金子大輔)の天気・気象ブログ

お天気・気象ネタを書いていくブログです♪。気象好きな方、空や雲が好きな方、よろしくおねがいします。

フィリピン・香港などを襲ったスーパー台風

今シーズン最強の勢力にまで発達した台風22号は、

フィリピン・ルソン島北部→香港・マカオなどを襲った。

フィリピンとしては、史上3番目に低い気圧での上陸。

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このレベルの台風は、沖縄も含めて日本では未知のレベルだ……。

フィリピン北部のバギオでは降水量762ミリを観測、

香港では最大瞬間風速62メートルに達した。

 

ちなみに、

2013年のスーパー台風30号もこれに近いレベルでフィリピンを襲い、

約6000人の犠牲者を出した。この台風は895hPaとされているが、

一説には860hPa程度だったのではないかともいわれている。

 

今回はそれより若干勢力が劣るものの、

地球上で上限に近いほどの猛烈な暴風雨であることは

間違いないため、相当な被害が心配される。

 

なお、香港在住の友人によると、

香港では台風が来ると、会社は休業になるという。

天が猛り狂っているときくらい、仕事を休むのは

地球・そして自然への礼儀だと思うし、

被害を最小限にするために、見習うべき文化ではなかろうか。

近畿地方で記録的大雨

引き続き、南海上の積乱雲群が北東方向に移動、

近畿地方などにかかり続ける。

大阪、京都、兵庫などで記録的短時間大雨情報が相次いだ。

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↑今日も、カラフルなエコーが散在している。

南関東のみ、山にブロックされて雨雲が入りにくくなっているが、

13時頃、川崎市麻生区では30秒くらいの激しいにわか雨。

 

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↑夜になると、関東平野に侵入する雨雲が増えてきた。

 

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↑未明には前線はこの位置。熱帯低気圧に刺激されて、活動は活発。

 

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熱帯低気圧がさらに前線に近づき……

 

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↑前線に吸収されてしまった。

ただ、また新たな熱帯低気圧台湾の南から近づいている

前線が刺激され続けるので、引き続き大雨に注意が必要だ。

近畿地方や岐阜などで非常に激しい雨

引き続き、秋雨前線を熱帯低気圧が刺激し続ける。
前線の南側には、南西風に乗って湿った暖かな空気が流れ込んで、
積乱雲が発達、非常に激しい雨となっている。

大阪府能勢町能勢:64.5ミリ
京都府右京区京北:58.5ミリ
兵庫県福崎町福崎:55.5ミリ
兵庫県西宮市西宮:52.0ミリ
岐阜県下呂市萩原:49.0ミリ
岐阜県下呂市宮地:43.5ミリ
兵庫県姫路市姫路:41.0ミリ
岐阜県郡上市八幡:41.0ミリ
京都府京丹後市間人:39.0ミリ
兵庫県豊岡市豊岡:37.5ミリ

 
一方、関東地方には雨雲が少ない。

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 ↑熱帯低気圧が前線の西端に近づく

 

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↑近畿、東海、四国などに発達した雲がたくさん。

 

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熱帯低気圧の雲(親玉)を中心に、北東方向に積乱雲が並んでいる。

熱帯低気圧が秋雨前線を刺激

秋雨前線がゆっくり北上し、全国的にすっきりしない。
さらに、熱帯低気圧が前線を刺激し、所々で非常に激しい雨も☂⚡

【1時間雨量】
広島県呉市倉橋:62.0ミリ(観測史上1位)
鳥取県江府町江尾:48.0ミリ(9月史上1位)
長野県王滝村御嶽山:46.0ミリ(9月史上1位 )
高知県高知市高知:43.5ミリ
高知県香美市大栃:43.5ミリ

 

【24時間雨量】

高知県馬路村魚梁瀬:222ミリ
長野県王滝村御嶽山:150ミリ
高知県田野町田野:102.5ミリ
高知県安芸市安芸:99.5ミリ
高知県香美市大栃:99ミリ

 

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↑列島の南岸沿いに前線が停滞。

 

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↑北上する熱帯低気圧に押されるように、前線はゆくり北上。

 

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↑前線は日本海まで北上。

 

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広島県呉市内で、観測史上最大の雨をもたらした積乱雲。

 

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↑ところどころに現れる「流血エコー」。
日本海にはかなりえぐい雲もあるようだ。

明日以降も大雨に注意を。

温帯低気圧化しつつある台風21号から伸びる寒冷前線

猛威を振るった台風21号は、温帯低気圧に変わりました。

 

台風が温低化する=弱まる、ではありません。

台風(熱帯低気圧)は暖気のみでできた低気圧ですが、

これに寒気が流れ込んで、寒気と暖気がぶつかると

温帯低気圧という、別の構造を持った低気圧に変わるのです。

 

台風は前線を伴いませんが温帯低気圧はしばしば前線を伴います

温低に変わりつつある台風からは、長い寒冷前線が伸びてきました。

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厳密には、寒冷前線そのものというよりは、

前面の湿った暖かな空気が、積乱雲群を作ったと言えそうです。

この積乱雲の帯が、未明、関東南部を通過し、激しい雷雨になりました。

 

以下、レーダー画像、落雷情報、気象衛星です。

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台風21号、徳島県~兵庫県を直撃

1993年以来25年ぶりに「非常に強い」というランクで

台風21号は徳島県南部に上陸した。

 

ドボラック法では中心気圧950hPaと解析されていたが、

高知県室戸岬で11時前に934.8hPaを記録しており、

実際には930hPaくらいの台風であったことが推定される。

【各地の最大瞬間風速】

大阪府 田尻町 58.1メートル(史上1位)
和歌山県 和歌山市 57.4メートル(史上1位)
高知県 室戸市 55.3メートル
和歌山県 和歌山市 51.8メートル(9月としては史上1位)
大阪府 熊取町 51.2メートル(史上1位)
徳島県 美波町 50.3メートル(史上1位)
福井県 敦賀市 47.9メートル(史上1位)
大阪府 中央区 47.4メートル
愛知県 常滑市 46.3メートル(史上1位)
滋賀県 彦根市 46.2メートル(史上1位)

 

ではレーダーで上陸時の様子を見てみましょう。

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↑アイウオール(目を取り巻いて壁のようにそびえたつ積乱雲)

に伴う「流血エコー」が。

この下に入ると、1時間に80ミリ以上の猛烈な雨の可能性。

 

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↑アイウオールがばらけて、

やや広範囲に広がったように見えます。

 

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↑だいぶカタチが崩れてきました。

アイウオールの積乱雲は広範囲に散らばり、

中心から離れたところでも、猛烈な雨が降りやすくなります。

 

関東はというと……。

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↑台風をとりまく南風に乗って、南海上から

小さいながら活発な積乱雲が北上しています。

この下に入ると、短時間とはいえ、

煙のように前が全く見えないほどの暴風雨になりました。

 

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↑積乱雲は、山にぶつかると停滞・発達するため、

山岳地帯で降水量が多くなるパターンです。

 

【関東各地の最大瞬間風速】

東京八王子市:31.5メートル
東京江戸川区:28.2メートル
 東京都心:26.8メートル
横浜:25.9メートル
千葉市:25.2メートル

 

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↑比較的目が明瞭なまま、上陸を迎えつつあります

沖縄以外では珍しいかもしれません。

 

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↑上陸した頃。

 

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↑可視画像でみると、雲頂が凸凹していて

積乱雲が発達していることがうかがえます。

 

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↑台風から南西方向にも、しっぽのように積乱雲の帯が伸びています。

台風が温帯低気圧化しつつあり、

寒冷前線に伴う雲であると考えられます。

 

 

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東京23区西部でゲリラ豪雨・ゲリラ雷雨、さいたまは雹も

27日、18時頃に東京ー埼玉堺で雷雲が発達し、
さいたま市などで激しく雹が降った。

 

その積乱雲は、19時頃から南下、

東京23区西部へと進んで、激しい落雷と豪雨をもたらした。

 

東京世田谷区付近で1時間に約110ミリ、練馬区で同71ミリなど。

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関東付近には前線が伸び、湿った空気が流れ込みやすくなっていた。

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