気象予報士2670号(金子大輔)の天気・気象ブログ

お天気・気象ネタを書いていくブログです♪。気象好きな方、空や雲が好きな方、よろしくおねがいします。

【2002年1月22日】広尾で1時間に41.5ミリ!雪としての降水では最強か?

東京あたりの場合、降水量1ミリが雪になると約1センチの積雪になります。1時間に2、3ミリの雪といえば、かなり強い降り方ということができ、気象学的にも1時間に3ミリ以上の降水が雪として降ると「雪強し」と記録されるのです。


降水相が雨の場合には、1時間に100ミリ以上というバケモノ値もありうるのですが、雪が降る低温のときには、空気中の水蒸気も少ないため、このような値はまず出ません。

では、雪としての降水で最も強いのは、いったいどれくらいでしょうか?

2002年1月22日、北海道十勝地方の広尾で、1時間に41.5ミリという記録があり、これが国内最強ではないでしょうか?もしもっとすごい値をご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください。

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このとき、日本列島を発達した低気圧が通過し、十勝地方は暴風雪になっていたのです。東京でも雷を伴う強い雨が降っていました。

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私は1986年3月23日の爆弾低気圧のとき、1時間に10ミリ近い降水が雪として降っている光景なら見たことがありますが、「綿菓子の祟りのよう」でした。

1時間に41ミリの雪……いったいどんなすさまじい光景だったことでしょう。

1980年に関東に近づいた台風

過去、関東に接近した台風に再度クローズアップしてみたいと思います。まずは「ほどほど昔」で、人々の記憶から消えつつある1980年あたりを見てみます。この年、関東地方に接近した台風は2つありました。

★台風3号
5月21日に最接近。東京の総雨量30ミリ(最大1時間雨量5.5ミリ)。最大瞬間風速16.5メートル。銚子総雨量34ミリ(最大1時間雨量7ミリ)。最大瞬間風速28.5メートル。東方沖を離れて北東に進んだパターン。

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台風19号
10月14日に最接近。東京の総雨量68ミリ(最大1時間雨量25.5ミリ)。最大瞬間風速20.6メートル。南岸、八丈島のやや北を東北東に進んだ。この台風は最盛期に890hPaまで発達し、関東接近時の中心気圧も960hPa程度と危険なレベルだったものの、南海上を東寄りに進む台風は、極端な荒天にはならないようだ。

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東京など、関東に大雪が降るとき(南岸低気圧)

東京など太平洋側の地域は、一般に雪があまり降りません。とくに関東平野では、「西高東低」の冬型の気圧配置で強い寒気が流れ込んでいるときには、絶対と言っていいほど、まとまった雪にはならないものです。


そんな関東でも、まれに、20センチ以上の雪がどかっと降ることがあります。この2枚の写真は2014年2月8日の大雪のときのものですが、東京は27センチ、千葉は33センチの大雪に見舞われました。

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では、ここ最近、関東に大雪をもたらしたときの天気図を並べてみます。何か共通点はありませんか?


 

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↑2018年1月22日。東京23センチ(降水量24ミリ)、横浜18センチ(降水量20ミリ)など。

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↑2014年2月15日。河口湖143センチ(降水量?)、甲府114センチ(降水量98.5ミリ)、秩父98センチ(降水量117.5ミリ)、前橋73センチ(降水量129ミリ)、東京27センチ(降水量96ミリ)、横浜28センチ(降水量80.5ミリ)など。

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↑2014年2月8日。東京27センチ(降水量31ミリ)、千葉33センチ(降水量46ミリ)など

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↑1992年2月1日。宇都宮20センチ(降水量18ミリ)、東京17センチ(降水量51.5ミリ)、勝浦5センチ(降水量31ミリ)、甲府5センチ(降水量21ミリ)など。


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↑1994年2月12日。外房を除き、関東甲信のほぼ全域で約20センチ。


そう、必ず関東の南を、低気圧が東進しているのです。この低気圧は南岸低気圧と呼ばれています。

南岸低気圧は、北からの寒気と、南からの湿った暖かな空気をともに巻き込んでいきます。低気圧のコースや発達具合によって降水量や気温が大きく変わります。

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低気圧が陸地に近いほど、降水量は多くなりますが、暖気の影響も受けやすくなります。陸地から遠いと降水量は少なくなりますが、寒気の影響が強くなります。

 

さらに、低気圧が猛烈に発達すると暖気・寒気ともに激しく巻き込みますが、発達しないと巻き込みも弱くなります。

 

南岸低気圧が予想されるときには、これらの兼ね合いを計算しなければなりません。しかも、地上気温が0.5℃異なるだけで、降水相(雨か雪か)は大きく変化してしまうという恐ろしさ。東京の雪予報が極めて難しいのは、こんな背景があるのです。

雷を伴う東京の大雪(1998年1月8日~9日)

1998年1月8日~9日、南岸低気圧関東は大雪❄
前橋31センチ、宇都宮29センチ、秩父28センチ、熊谷25センチ、
横浜20センチ、東京15センチ、水戸8センチ、千葉4センチなど。

東京・横浜では総降水量36ミリに達し、雷を伴った⚡

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東京など、関東平野で雷を伴う雪は珍しい。
発雷の背景を考察してみる。

発雷した時刻は、1時間に5~10ミリと
雪としてはかなり強い降水に見舞われていた。

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しかしエマグラムを見ると、
SSIがプラスの19.22とかなり安定していることがわかる。
大気の状態が不安定なことが起因ではなさそうだ。

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 天気図を見ると、ちょうど関東付近に
低気圧の中心が近づきつつある。

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低気圧は9987hPaまで発達し、閉塞が始まっていた。
閉塞が始まる際の、閉塞点での激しい上昇気流により、
積乱雲が発生したものと思われる。

雷の種類としては「渦雷」に近いのではないか。
他に、関東で雷をもたらした南岸低気圧の事例も検証してみたい。

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都心などで雷雨

20日の東京は、午前中よく晴れたものの、
午後はもくもくした雲が増え、夕方には雷雨となった。

 

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↑23区西部から栃木県に、線状の積乱雲。
小山市で1時間に31.5ミリの激しい雨を観測。

 

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↑夏の雷雨のような猛々しさはないが、それなりに落雷も発生している。

 

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↑落雷の範囲は、時間とともにばらけていく。

 

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↑レーダーで見ても、シャープな雷雲が、ばらけて弱まっていくような感じ。
このエコーだけ見ると、まるで層状雲のよう。

 

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↑天気図では、19日にくらべ、大陸からの高気圧が南下。
関東でも晴れ間が広がりやすくなっている。

 

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↑しかし、上空約5500メートルで-21℃以下の寒気

 

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↑午前9時のエマグラム。
上空は乾いているが、気圧の谷に入っていることが示唆される。
また、地表付近では湿った東風が入っている。

 

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↑21時のエマグラム。全層に渡って湿っている。
今回の雷雲の推定の高さ(厚さ)は、マックスで7500メートルくらいか?

上空に強い寒気、北陸で集中豪雨

秋雨前線が南下し、大陸の高気圧に北から覆われている。

大陸に寒気が溜まり、秋が深まってきたことを示唆している。

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北海道や西日本太平洋側をのぞいて天気がぐずつき、

特に北陸で、雷や雹を伴う猛烈な雨が降っているところも。

石川県珠洲市付近で1時間に100ミリの雨が降ったと推定される。

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珠洲市に豪雨をもたらしたと思われる積乱雲。

山陰沖には渦を巻く寒冷渦(上空に寒気を伴う低気圧)の雲が見える。

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関東も、北方の高気圧から冷たく湿った空気が流れ込み、
低い雲がべったり。ときどき雨も。

 

 

上空約5500メートルには、-20℃の寒気が流れ込む。
これは、冬に東京で雪をもたらす寒気に匹敵する。

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輪島のエマグラム。500hPa(上空約5500メートル)では、

やはり₋20℃を下回っている。

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このように、上空に寒気、地表に暖気が残る」

大気の状態が不安定となり、積乱雲が発生しやすくなる。

 

特に晩秋~初冬は、北陸や新潟で積乱雲が発達しやすく、
ときに集中豪雨をもたらす。

季節が進むと、このような積乱雲がもたらす雨(しぐれ・時雨)
は雪へと変わっていくのだ。

台風24号が日本列島へ

29日は、台風24号が沖縄~奄美地方を通過。
記録的な暴風に見舞われた。


【最大瞬間風速】
鹿児島県与論島:56.6メートル
沖縄県糸数:56.2メートル(観測史上1位の値を更新)
沖縄県奥:53.8メートル
沖縄県渡嘉敷:53.3メートル
沖縄県那覇:53.1メートル
沖縄県宮城島:52.5メートル
沖縄県慶良間:51.4メートル(観測史上1位の値を更新)
鹿児島県天城:51.4メートル
鹿児島県古仁屋:49.1メートル(観測史上1位の値を更新)
沖縄県北原:47.3メートル


また、秋雨前線が停滞している影響で、
台風から離れた地域でも猛烈な雨が降った。


【1時間降水量】

鹿児島県与論島:107.0ミリ(観測史上1位の値を更新)
和歌山県新宮市:93.5ミリ
和歌山県潮岬:82.5ミリ (9月の1位の値を更新)
三重県阿児:70.5ミリ(9月の1位の値を更新)

 

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↑大型で非常に強い台風24号奄美地方へ。

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↑目が非常に大きいのが特徴的。
このため、台風から離れたところで大雨が降りやすい。

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↑30日の予報。九州から東北まで「暴風雨マーク」が並ぶのは圧巻。

 

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↑30日以降、時速90キロくらいまで加速する見込み。


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↑進行方向右側では、記録的な暴風となる恐れがある。

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↑東京でも最大風速35メートルくらい、
最大瞬間風速は40~50メートルに達して、史上1位を塗りかえる可能性も。

 

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↑台風と秋雨前線の雲が全国的に広がっている。

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↑30日夜の上陸後も、渦度が1000を超えてそうだ。

 

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↑関東も湿った南風が非常に強まり、猛烈な暴風雨になりそう。

 

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↑上昇気流-200超えで、竜巻などが発生するかもしれない。