気象予報士2670号(金子大輔)の天気・気象ブログ

お天気・気象ネタを書いていくブログです♪。気象好きな方、空や雲が好きな方、よろしくおねがいします。

2006年12月26~27日(東京で激しい落雷を伴う)

初冬ならびに早春は、寒気と暖気が激しくぶつかり合うため、
異常に発達する爆弾低気圧がしばしば現れます。

2006年12月26~27日の爆弾低気圧は、東日本の沿岸を通過し、
東京や千葉で、落雷が著しかったのが特徴的です。
豪雨や暴風が目立つ爆弾低気圧の例はありますが、
落雷が目立つのは、他にあまり類を見ません。

もちろん、記録的な大雨・暴風ももたらしました。
26日には、千葉県鋸南町で日降水量226ミリ、
館山市で同222.5ミリ
東京都八丈町西見で最大瞬間風速45.3メートルを記録し、
12月極値を更新しています。

 

また27日には、栃木県日光市最大瞬間風速42.3メートル。
岩手県普代村の153ミリ/3h、日雨量290ミリ

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↑九州の南で1006hPa。

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↑四国の南で1000hPa。閉塞が始まっています。

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紀伊半島南端に達し、996hPa。さらに閉塞が進んでいます。

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↑関東沿岸で992hPa。このころ、東京周辺で激しく発雷しました⚡⚡⚡。

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↑東北沿岸を北上。984hPa。

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↑最終的には964hPaまで発達した。

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↑26日夜、上空約1500メートル付近には暖かい空気(初夏並み)。
関東では、日差しがあれば夏日になってもおかしくないほどの暖気です。

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↑27日朝、 夏日をもたらしかねない暖気が東北まで達しました。

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↑26日夜、上空約5500メートル付近にも暖気。
しかし初夏並みとはいかず、春並みでしょうか。

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↑27日朝。低気圧の後ろから、くさび上に強い寒気が流れ込もうとしています。

上空1500メートルで気温が高く、
上空5500メートルで相対的に気温が低い……大気の状態が不安定といえ、
雷雲が発達した原因と考えられます。

また、閉塞点・閉塞前線がシビアな現象を起こしやすい例とも言えます。

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↑26日夜の館野(茨城県)のエマグラム(断面図)です。
地表から上空まで湿っていて、SSIは3.31です。

 

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↑27日朝。全体にかなり乾いています。

乾いた空気が、湿った空気を押すことで「水蒸気前線」が形成されて
積乱雲が発達したのかもしれません。
梅雨末期の九州でよくみられる現象です。

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↑記録的な大雨に見舞われた岩手県普代のアメダスです。
1時間に40ミリ以上が4時間も継続……
まるで台風が上陸したかのような状況だったことがうかがえます。

【まとめ】東京で激しい発雷に至った原因
・低気圧のコースが東京をほぼ直撃。
閉塞前線が通過した。
・中層に相対的に寒気、下層に暖気。
・水蒸気前線の形成

1995年12月25日~恐怖のクリスマス寒波、12月史上最強の寒気!

1995年のクリスマス明け、とてつもない寒波が到来した。
12月史上、最強クラスの寒気と言っても過言ではないだろう。

各地に雷を伴った大雪や暴風雪をもたらし、
三重県四日市で積雪53㎝(史上1位)、滋賀県彦根で36センチを記録。


冬型のときには、
絶対と言っていいほどまとまった雪が降らない関東平野でも、
埼玉県辺りまで雪雲が侵入。

宇都宮では3センチの積雪。
館山、伊豆大島でも雪を観測し、八丈島も雷を伴う雪となった。
東京は快晴でありながら、最高気温5.0℃どまり。

温暖な西日本でも雪が降り、奈良2センチ、津8センチの積雪。

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上空約1500メートルで-12℃の寒気が、
関東をすっぽり覆っているのは驚異的。

館野の850hPaの気温は、12月としては史上最低の-12.9℃、
500hPaでも12月史上3位の-39.2℃。

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早い積雪~2002年12月9日

2002年12月9日、関東各地で積雪に至りました。
宇都宮17センチ、水戸14センチ、千葉5センチ、横浜3センチ、都心1センチなど。

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上空約1500メートルの寒気から判断すると、
沿岸も含めて雪になってもおかしくない気温です。

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積雪5センチ以下の南関東と、10センチ以上の北関東を分けたのはなんでしょうか。ずばり、地表の気温です。降水が強い時間帯に、東京では1℃前後であったのに対し、水戸は0℃台前半、宇都宮は氷点下でした。南岸低気圧の大雪では、ほんのわずかな気温差が明暗を分けることは珍しくありません。

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北緯が東京とほぼ同じ八王子では、降水期間中の気温が0℃台。
現に八王子では10センチを超える雪が積もったとのことです。

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1991年12月27日の大雪~大雪警報とともに止む……~

東京の大雪事例として、ちょっとおもしろい感じのケースを紹介します。

1991年12月27日、昼前から雨が降り始めました。雨は14時前後に雪へと代わり、夕方にかけて、かなり強い降り方になりました(最大で1時間に3.5ミリ)。しかも大粒のボタン雪でかなりの迫力……。

気象庁は東京地方に「大雪警報」を発表し、明朝までに20センチ積もるとしました。177で聞くと「今夜は、北の風、大雪でしょう」という、このとき一回しか聞いたことがないような予報を報じていたのが印象的です。

しかしその直後、雪は雨に変わってしまったという、なんともむなしい事例となりました。結果的に都心で1センチ、練馬区7センチ、熊谷4センチなど。

天気図を見ると、南岸低気圧に加えて、日本海に低気圧があるのが特徴的です。小さな副低気圧でなく、日本海にしっかりした低気圧があって大雪になった例は珍しいです。

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雪が激しかった時間帯の気温は1℃前後。大雪としては、やや高温下であったと言えます。降水が弱まるとともに昇温して雨に変わる、という傾向も顕著です。

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21時、関東南部の上空約1500メートルの気温は0℃以上、雪が降る状況としてはかなり気温が高いと言えます。

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午前9時の館野(茨城県)のエマグラムです。上空約1500メートルの気温は-3℃くらいなので、これなら雪が降ってもおかしくありません。

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しかし21時。上空約1500メートルから地表まで、ほぼプラスの気温となっています。これでは雪のまま落ちてくるのはかなり無理があります。日本海の低気圧接近に伴って急激に上空の気温が上がり、雨に変わってしまったのでしょう。

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1981年に関東に近づいた台風

先日に続き、1981年に関東に接近した台風のお話です。この年、関東地方に接近した台風は2つありました。

 

台風15号
8月22日に最接近。東京の総雨量69.5ミリ(最大1時間雨量11.5ミリ)。最大瞬間風速22.8メートル。銚子の総雨量33.5ミリ(最大1時間雨量8ミリ)。最大瞬間風速36.4メートル。逆「くの字」で進んだやや珍しいコースです。965hPaで直撃したわりには、風雨はそこまで激しくなかったようです。

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台風24号

10月22日に最接近。東京の総雨量218ミリ(最大1時間雨量46.5ミリ)。最大瞬間風速28.8メートル。関東地方としては、トップクラスの暴風雨をもたらした台風。1996年の台風17号と似ている。

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【2002年1月22日】広尾で1時間に41.5ミリ!雪としての降水では最強か?

東京あたりの場合、降水量1ミリが雪になると約1センチの積雪になります。1時間に2、3ミリの雪といえば、かなり強い降り方ということができ、気象学的にも1時間に3ミリ以上の降水が雪として降ると「雪強し」と記録されるのです。


降水相が雨の場合には、1時間に100ミリ以上というバケモノ値もありうるのですが、雪が降る低温のときには、空気中の水蒸気も少ないため、このような値はまず出ません。

では、雪としての降水で最も強いのは、いったいどれくらいでしょうか?

2002年1月22日、北海道十勝地方の広尾で、1時間に41.5ミリという記録があり、これが国内最強ではないでしょうか?もしもっとすごい値をご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください。

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このとき、日本列島を発達した低気圧が通過し、十勝地方は暴風雪になっていたのです。東京でも雷を伴う強い雨が降っていました。

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私は1986年3月23日の爆弾低気圧のとき、1時間に10ミリ近い降水が雪として降っている光景なら見たことがありますが、「綿菓子の祟りのよう」でした。

1時間に41ミリの雪……いったいどんなすさまじい光景だったことでしょう。

1980年に関東に近づいた台風

過去、関東に接近した台風に再度クローズアップしてみたいと思います。まずは「ほどほど昔」で、人々の記憶から消えつつある1980年あたりを見てみます。この年、関東地方に接近した台風は2つありました。

★台風3号
5月21日に最接近。東京の総雨量30ミリ(最大1時間雨量5.5ミリ)。最大瞬間風速16.5メートル。銚子総雨量34ミリ(最大1時間雨量7ミリ)。最大瞬間風速28.5メートル。東方沖を離れて北東に進んだパターン。

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台風19号
10月14日に最接近。東京の総雨量68ミリ(最大1時間雨量25.5ミリ)。最大瞬間風速20.6メートル。南岸、八丈島のやや北を東北東に進んだ。この台風は最盛期に890hPaまで発達し、関東接近時の中心気圧も960hPa程度と危険なレベルだったものの、南海上を東寄りに進む台風は、極端な荒天にはならないようだ。

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