気象予報士2670号(金子大輔)の天気・気象ブログ

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東京など、関東に大雪が降るとき(南岸低気圧)

東京など太平洋側の地域は、一般に雪があまり降りません。とくに関東平野では、「西高東低」の冬型の気圧配置で強い寒気が流れ込んでいるときには、絶対と言っていいほど、まとまった雪にはならないものです。


そんな関東でも、まれに、20センチ以上の雪がどかっと降ることがあります。この2枚の写真は2014年2月8日の大雪のときのものですが、東京は27センチ、千葉は33センチの大雪に見舞われました。

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では、ここ最近、関東に大雪をもたらしたときの天気図を並べてみます。何か共通点はありませんか?


 

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↑2018年1月22日。東京23センチ(降水量24ミリ)、横浜18センチ(降水量20ミリ)など。

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↑2014年2月15日。河口湖143センチ(降水量?)、甲府114センチ(降水量98.5ミリ)、秩父98センチ(降水量117.5ミリ)、前橋73センチ(降水量129ミリ)、東京27センチ(降水量96ミリ)、横浜28センチ(降水量80.5ミリ)など。

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↑2014年2月8日。東京27センチ(降水量31ミリ)、千葉33センチ(降水量46ミリ)など

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↑1992年2月1日。宇都宮20センチ(降水量18ミリ)、東京17センチ(降水量51.5ミリ)、勝浦5センチ(降水量31ミリ)、甲府5センチ(降水量21ミリ)など。


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↑1994年2月12日。外房を除き、関東甲信のほぼ全域で約20センチ。


そう、必ず関東の南を、低気圧が東進しているのです。この低気圧は南岸低気圧と呼ばれています。

南岸低気圧は、北からの寒気と、南からの湿った暖かな空気をともに巻き込んでいきます。低気圧のコースや発達具合によって降水量や気温が大きく変わります。

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低気圧が陸地に近いほど、降水量は多くなりますが、暖気の影響も受けやすくなります。陸地から遠いと降水量は少なくなりますが、寒気の影響が強くなります。

 

さらに、低気圧が猛烈に発達すると暖気・寒気ともに激しく巻き込みますが、発達しないと巻き込みも弱くなります。

 

南岸低気圧が予想されるときには、これらの兼ね合いを計算しなければなりません。しかも、地上気温が0.5℃異なるだけで、降水相(雨か雪か)は大きく変化してしまうという恐ろしさ。東京の雪予報が極めて難しいのは、こんな背景があるのです。