気象予報士2670号(金子大輔)の天気・気象ブログ

お天気・気象ネタを書いていくブログです♪。気象好きな方、空や雲が好きな方、よろしくおねがいします。

2024年2月5日は関東地方で大雪か

2024年2月5日は南岸低気圧の通過により、
関東地方で警報級の大雪の可能性が出てきています。

まず925hPa(上空約800m)の図ですが、
0℃線が房総半島の一部を除き、
関東地方のほぼ全域を覆っています。

都心は-1℃くらいが予想されていますが、
南岸低気圧のときには、気温減率が小さくなるため、
地表付近も0℃前後で経過する可能性があります。

925hPa気温


次に850hPa(上空約1500m)の図です。
-3℃(薄い水色で塗った部分)が雪の目安とされますが、
これも南房総を除き、関東野ほぼ全域を覆っています。

条件によっては0℃くらいでも降雪に至ることがあるため、
関東全域で雪の可能性が高いと言えます。

850hPa

さらに予想天気図です。

本州の南岸を低気圧が北東進していきますが、
降水域が北に大きく広がっており、

降水量が多くなることが示唆されます。

 

また、関東付近で等圧線がベコンと凹んでおり、
寒気が溜まることも示唆されています。

天気図

以上により、大雪の可能性が濃厚と判断しましたが、はたして!?

2023年10月25日のゲリラ雷雨(23区内で降雹)

2023年10月25日は、上空に真冬並みの寒気が流れ込み、
大気の状態が非常に不安定になりました。

上空約5500mの寒気

寒気に対応するように、気圧の谷(トラフ)が通過します。

 

500hPa天気図

関東付近で風の収束が見られます。

天気図

相当温位

夜になると、埼玉県や茨城県で積乱雲が発生し、
発達しながら南下。都心周辺でピークに達しました。
23区西部でも各地で降雹、
都心でも1時間に30.5mmの激しい雨を観測しています。

雨雲レーダー

江戸川区は雷雲のコアからは外れましたが、
北方向や西方向の空がひっきりなしに光っていました。

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2023年の夏について(東京)

2023年夏には「スーパーエルニーニョが発生、
しかも通常のエルニーニョと異なって、
ラニーニャ状態から一気にスーパーエルニーニョ
なってしまうという、過去に例を見ないパターンになりました。

つまり、ラニーニャの特徴も引きずったまま、
強いエルニーニョになってしまったことになります。

結果……ご存知のとおり、異常に暑い夏になりました。
東京の猛暑日(最高気温が35℃以上)の日数22日は、
ぶっちぎりで観測史上最高です。

 

東京猛暑日日数

また、関東においては雨が少なくなりました。
他の地方ではけっこう雷雨が多かったのですが
あたかも何かに守られているかのように、
東京周辺には積乱雲が侵入しにくく、8月の降水量が少なくなっています。

歴代8月の月降水量

猛烈な暑さに加えて降水量が少なかったので、
草木が枯れ始め、生態系への影響も心配されました。

9月頭の台風13号で少し水不足は解消したようですが……。

【2023年台風13号】千葉など異常なほどの大雷雨

あまり発達せず、「ギリギリ台風」という勢力で接近した台風13号
「風台風でなく雨台風」という傾向は概ね正しかったのですが、
蓋を開けてみると、あまりにもえげつなかった台風でした。

台風13号に進路

以下の動画でまとめましたが、
積乱雲が中心よりはるか北東で発達し、
中心付近ではほとんど雨が降らなかったのも特徴的です。
また、積乱雲からの落雷が極めて激しかったことも。

台風に伴う積乱雲は通常、それほど激しく発雷しませんが、
まるで夏の大雷雨のようにバチバチ落雷を伴っていました。
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このように活発な積乱雲が、日本列島の東端をかすめるように北上したため、
千葉、茨城、福島などで記録的大雨になりました。

個人的には、千葉県南部には『大雨特別警報』を検討しても
よかったくらいだと思います。

1時間雨量

12時間雨量

48時間雨量

台風から離れて積乱雲が発達したこと、落雷の激甚なタイプだったことには、
上空の寒気を巻き込んだことも関係していると考えられます。

純粋な台風(熱帯低気圧)というよりは、
熱帯低気圧に近い性質だったのかもしれません。

2023年台風6号、7号

台風6号に続いて、台風7号が接近しています。
今回の台風の特徴について、
少し前の見解ですが動画にまとめました。
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最終的に台風7号は、紀伊半島に向かう見込みですが、
関東地方でも雨脚が強まっているのが特徴的です。

台風の回転とともに、
台風周辺の非常に湿った暖かな空気(赤道気団)が
関東地方にも流れ込んで、大気の状態が不安定になっているためです。

ピンクの領域は赤道気団、
熱帯雨林気候に入ったと考えてよいと思います🌴🦍

相当温度位

雨雲レーダー

上空には特にもくもくした積乱雲がそびえたち、
青空が見えたと思ったらザーッと降るのを繰り返しています。

積乱雲

【雹・雷雨】2023年4月16日【大気の状態不安定】

2023年4月16日~17日にかけて、
大気の状態が非常に不安定になり、
各地で激しい雷雨、
東京都心では9年ぶりに雹(直径8ミリ)を観測しました。

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↓上空約5500mには真冬並みの寒気が流れ込んでいますが、
地表の気温は24.5℃まで上がりました(しかも湿度60%以上)。

500hPa20230416

↓これが都心で暴れた積乱雲と思われます。

積乱雲20230415

↓いったん弱まっても、積乱雲は発達を繰り返しました。
今回はポツンと出たエコーは、ほぼ確実に真っ赤な積乱雲にまで成長したのが
特徴で、いかに大気の状態が不安定だったかがうかがえます。

レーダー20230416

なお、真っ赤なエコーに覆われた地域にも雷注意報のみで、
大雨注意報が一切出なかったのも印象的でした。

今回の積乱雲は、落雷や降雹、突風をもたらすものの、
降水量はさほどでもないことを踏まえてのことでしょう。

小笠原近海の怪しい低気圧

父島、母島で雨や風が強まっています。
詳しくは動画にまとめましたが、
熱帯低気圧でも寒冷渦でもなさそうで、
温帯低気圧化しつつある亜熱帯低気圧といったところでしょうか。
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父島のエマグラムを見ると、
上空は乾燥しているにもかかわらず、
大気の状態の安定度はよくありません。

エマグラム20230403