積乱雲、それは問答無用で雲の王様と言ってよいでしょう。
背の高さは10000メートル以上、
ときには20000メートル近くに達すると言われます。
通称、入道雲とか雷雲とも呼ばれます。
もくもくした雄大な雲頂が白銀色に輝く様は、
この世のものとは思えない美しさですが、
雲の下では、激しい雷雨(雪)、降雹、突風、竜巻などなど
極めてシビアな現象が起こっているのが普通です。
↑2017年6月5日、都心にゲリラ雷雨と雹をもたらした積乱雲
なお、巨大な塔のようにそびえたつ積乱雲も、
無限の高さまで成長できるわけではありません。
季節や緯度などによって変わるのですが、
それがおよそ数km~20kmくらいというわけです(対流圏界面)。
対流圏界面に達すると、積乱雲は天井にぶつかったかのように、
横に広がるようになり、かなとこ雲と呼ばれます。
※鍛冶屋がつかう「かなとこ」に形が似ているため。
↑2011年8月8日、JR小岩駅から東方向。雲頂がかなとこ雲になっている。
↑2008年7月29日、都心に雷雨をもたらし、山手線がとまったときのかなとこ雲。
また、ひょろりとそびえたつ入道雲も、夏季にはよく見られます。
これは塔状雄大積雲と呼ばれ、膨らんだりしぼんだりしながらも、
なかなか立派な積乱雲へと成長できない、もどかしい雲です。
雄大積雲という積乱雲の前段階なので、
それほど激しい現象をもたらさないのが普通です。
↑2010年7月19日、塔状雄大積雲。
さらに、かなとこ雲が上空の強風に流されて、
横に大きくなびいたものは火焔状積乱雲と呼ばれます。
飯田睦治郎氏「野外ハンドブック・5雲」によると、
火焔状積乱雲は「見ているところには決してやってこない」とのこと。
↑いずれも2003年9月11日、江戸川区にて火焔状積乱雲。
積乱雲が成長していく途中で、
暖かな湿った空気の層にぶつかると、雲頂にうっすらとした雲が
頭巾をかぶったように現れることがあり、ずきん雲と呼ばれます。
ずきん雲は、積乱雲が成長していく過程で、
雲本体の中に溶け込んでしまうことが多いようです。
↑2010年7月1日、千葉市。
↑2008年7月29日、東京都府中市。
積乱雲がいざ頭上に近づくと、気流が大きく乱れ、
巨大な葡萄の房が垂れ下がるような、なんとも不気味な雲がときに現れます。
これは乳房雲と呼ばれています。
乳房雲が出ている間は雨や雪は降りませんが、
乳房が消えるとかなり強く降ることが多いです。
↑2005年12月3日、上空の強い寒気に伴って現れた。
↑2004年7月11日、横浜に雹を降らせた雲に伴う乳房雲。