気象予報士2670号(金子大輔)の天気・気象ブログ

お天気・気象ネタを書いていくブログです♪。気象好きな方、空や雲が好きな方、よろしくおねがいします。

積乱雲コレクション

積乱雲、それは問答無用で雲の王様と言ってよいでしょう。

 

背の高さは10000メートル以上、

ときには20000メートル近くに達すると言われます。

 

通称、入道雲とか雷雲とも呼ばれます。

 

もくもくした雄大な雲頂が白銀色に輝く様は、

この世のものとは思えない美しさですが、

雲の下では、激しい雷雨(雪)、降雹、突風、竜巻などなど

極めてシビアな現象が起こっているのが普通です。

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↑2017年6月5日、都心にゲリラ雷雨と雹をもたらした積乱雲

 

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↑2012年8月17日、群馬県下仁田町

 

なお、巨大な塔のようにそびえたつ積乱雲も、

無限の高さまで成長できるわけではありません。

季節や緯度などによって変わるのですが、

それがおよそ数km~20kmくらいというわけです(対流圏界面)。

 

対流圏界面に達すると、積乱雲は天井にぶつかったかのように、

横に広がるようになり、かなとこ雲と呼ばれます。

※鍛冶屋がつかう「かなとこ」に形が似ているため。

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↑2011年8月8日、JR小岩駅から東方向。雲頂がかなとこ雲になっている。

 

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↑2008年7月29日、都心に雷雨をもたらし、山手線がとまったときのかなとこ雲。

 

また、ひょろりとそびえたつ入道雲も、夏季にはよく見られます。

これは塔状雄大積雲と呼ばれ、膨らんだりしぼんだりしながらも、

なかなか立派な積乱雲へと成長できない、もどかしい雲です。

雄大積雲という積乱雲の前段階なので、

それほど激しい現象をもたらさないのが普通です。

 

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↑2010年7月。JR小岩駅から東方向。塔状雄大積雲。

 

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 ↑2010年7月19日、塔状雄大積雲。

 

さらに、かなとこ雲が上空の強風に流されて、

横に大きくなびいたものは火焔状積乱雲と呼ばれます。

飯田睦治郎氏「野外ハンドブック・5雲」によると、

火焔状積乱雲は「見ているところには決してやってこない」とのこと。

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↑いずれも2003年9月11日、江戸川区にて火焔状積乱雲。

 

積乱雲が成長していく途中で、

暖かな湿った空気の層にぶつかると、雲頂にうっすらとした雲が

頭巾をかぶったように現れることがあり、ずきん雲と呼ばれます。

ずきん雲は、積乱雲が成長していく過程で、

雲本体の中に溶け込んでしまうことが多いようです。

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↑2010年7月1日、千葉市

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↑2008年7月29日、東京都府中市

 

積乱雲がいざ頭上に近づくと、気流が大きく乱れ、

巨大な葡萄の房が垂れ下がるような、なんとも不気味な雲がときに現れます。

これは乳房雲と呼ばれています。

乳房雲が出ている間は雨や雪は降りませんが、

乳房が消えるとかなり強く降ることが多いです。

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↑2005年12月3日、上空の強い寒気に伴って現れた。

 

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↑2004年7月11日、横浜に雹を降らせた雲に伴う乳房雲。