気象予報士2670号(金子大輔)の天気・気象ブログ

お天気・気象ネタを書いていくブログです♪。気象好きな方、空や雲が好きな方、よろしくおねがいします。

急に秋モードに……

17日から、急に秋めいてしまった。

 

猛暑は嘘のように、30℃を超えている地点が少なくなり、

東京でも18日最高気温は27.2℃、最小湿度も40%台まで下がった。

(ちなみに、17日は最小湿度が29%)。

 

静電気体質の私は、早くもバチっと静電気を食らう様である。

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16日に夏と秋を分ける寒冷前線が通過し、

日本列島が秋の気団に覆われてしまったため。

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雷雲の発生も今日はない……。

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雹(ヒョウ)はなぜ夏に降るの?

全国的に、雹が多いのは春から秋です。

日本海側では寒候期にもよく降りますが、その他の地域では、

夏を中心に降ります(関東では5月下旬、7月下旬にピークがあります)。

 

書籍によっては「夏は高温なので雹が溶けてしまい、

春や秋の方が雹が降りやすい」と書かれていますが、

個人的にはそんなことはないと思います。

 

どんなにクソ暑くても(35℃以上であっても)

積乱雲が発達すれば、余裕で降りますから(^^;)……。

 

これは2004年7月、横浜や横須賀に

直径3センチほどの雹を降らせた積乱雲です。

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雹はなぜ、暑い夏に降るのでしょうか?

 

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雲は、上昇気流があるところにできるのでしたね。

上昇気流が強いほど、雲は厚く(高く)発達します。

 

雲ができる上空は、地表に比べて低温です。

上空15kmにもなると、真夏でも-60℃以下になります。

このため、積乱雲の上の方は、

水の粒ではなく、氷の粒でできています。

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積乱雲でできた水や氷の粒は、重力で落ちてきますが、

強い上昇気流に会うと、再び上空に吹き上げられてしまいます。

 

そして、再び雲中の氷や水を凍りつかせながら落下、

また吹き上げられ、また落下……を何回も繰り返し、

ついに、上昇気流でも支えきれない大きな雹となって落ちてくるのです。

 

ですから、雹が降るときには強烈な上昇気流が存在している証拠です。

夏の激しい雷雨に伴って雹が降るのは、このためです。

 

いろいろな雲のでき方

中学二年の理科Ⅱで学習するように、

空気が上昇すると冷やされ、やがて雲ができます。

 

上昇する原因は、低気圧、前線、熱、風のぶつかり合いなど、

さまざまなものがありますが、

とにかく「上昇気流=雲ができる」が基本です。

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上昇気流にも、秒速1センチに満たないものから、

秒速30メートルを超える爆風まであります。

上昇気流が強いほど、雲は厚く(高く)まで発達し、

やがて雲粒が大きくなると、雨や雪となって落ちてきます。

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下の絵のように、「上昇」にも実にいろいろなパターンがあるために、

非常に個性豊かな雲ができるのです。

たとえばエスカレーターのように緩やかに上昇すれば、

スーッと薄く広がるような雲ができ、

ロケットのようにドカンと上昇すれば、積乱雲などができます。

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積乱雲コレクション

積乱雲、それは問答無用で雲の王様と言ってよいでしょう。

 

背の高さは10000メートル以上、

ときには20000メートル近くに達すると言われます。

 

通称、入道雲とか雷雲とも呼ばれます。

 

もくもくした雄大な雲頂が白銀色に輝く様は、

この世のものとは思えない美しさですが、

雲の下では、激しい雷雨(雪)、降雹、突風、竜巻などなど

極めてシビアな現象が起こっているのが普通です。

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↑2017年6月5日、都心にゲリラ雷雨と雹をもたらした積乱雲

 

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↑2012年8月17日、群馬県下仁田町

 

なお、巨大な塔のようにそびえたつ積乱雲も、

無限の高さまで成長できるわけではありません。

季節や緯度などによって変わるのですが、

それがおよそ数km~20kmくらいというわけです(対流圏界面)。

 

対流圏界面に達すると、積乱雲は天井にぶつかったかのように、

横に広がるようになり、かなとこ雲と呼ばれます。

※鍛冶屋がつかう「かなとこ」に形が似ているため。

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↑2011年8月8日、JR小岩駅から東方向。雲頂がかなとこ雲になっている。

 

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↑2008年7月29日、都心に雷雨をもたらし、山手線がとまったときのかなとこ雲。

 

また、ひょろりとそびえたつ入道雲も、夏季にはよく見られます。

これは塔状雄大積雲と呼ばれ、膨らんだりしぼんだりしながらも、

なかなか立派な積乱雲へと成長できない、もどかしい雲です。

雄大積雲という積乱雲の前段階なので、

それほど激しい現象をもたらさないのが普通です。

 

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↑2010年7月。JR小岩駅から東方向。塔状雄大積雲。

 

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 ↑2010年7月19日、塔状雄大積雲。

 

さらに、かなとこ雲が上空の強風に流されて、

横に大きくなびいたものは火焔状積乱雲と呼ばれます。

飯田睦治郎氏「野外ハンドブック・5雲」によると、

火焔状積乱雲は「見ているところには決してやってこない」とのこと。

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↑いずれも2003年9月11日、江戸川区にて火焔状積乱雲。

 

積乱雲が成長していく途中で、

暖かな湿った空気の層にぶつかると、雲頂にうっすらとした雲が

頭巾をかぶったように現れることがあり、ずきん雲と呼ばれます。

ずきん雲は、積乱雲が成長していく過程で、

雲本体の中に溶け込んでしまうことが多いようです。

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↑2010年7月1日、千葉市

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↑2008年7月29日、東京都府中市

 

積乱雲がいざ頭上に近づくと、気流が大きく乱れ、

巨大な葡萄の房が垂れ下がるような、なんとも不気味な雲がときに現れます。

これは乳房雲と呼ばれています。

乳房雲が出ている間は雨や雪は降りませんが、

乳房が消えるとかなり強く降ることが多いです。

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↑2005年12月3日、上空の強い寒気に伴って現れた。

 

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↑2004年7月11日、横浜に雹を降らせた雲に伴う乳房雲。

 

台風15号、宮崎県日向市付近に上陸

台風15号は未明、宮崎県日向市付近に上陸した。

この前、「西進する台風は異例」と話題になったが、

8月の西日本では、それほどレアではない。

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中心気圧が1000hPaと浅いものの(昔なら「弱い台風」と呼んだ)、

雲にはまとまりがあり、また広範囲に湿った暖かな空気を送り込んでいる。

 

また沖縄には熱帯低気圧が近づき、

むしろ台風15号の雲より発達しているように見える。

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湿った暖かな空気の影響で、

九州から東海の広範囲で積乱雲が発達。

宮崎県西米良では1時間に50.0ミリの非常に激しい雨を観測した。

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不快指数~東京の暑さは世界トップクラス!?

暑いとか寒いとか、

体感を決めるのはおもに気温と湿度です。

気温については当たり前だと感じるでしょうが、
湿度も意外に大きな要素なのです。

例えば、中東は気温50℃を超えることがありますが、
日本より体感は涼しく感じると聞きます。
中東は砂漠で、湿度が低いからでしょう。

湿度が低いと、皮膚から汗がさかんに蒸発し、
そのときに気化熱を奪うために、体感温度は下がります。
注射の前に消毒用アルコールを塗るとヒンヤリしますが、
アルコールは汗以上に気化熱を奪うためです。


一方で、日本は海に囲まれているため、
湿度が高く、真夏は30℃を超えて湿度が60~70%です。

気温と湿度の兼ね合い(熱帯夜、風なども考慮)により、
東京の夏の暑さは世界トップクラスとなってしまい、
東京オリンピックで人間が耐えられるかが懸念されるわけです💀

 

では、気温と湿度を組み合わせて、体感を表現できないか……
その結果生み出されたのが不快指数(discomfort index)です。

いくつか計算方法がありますが、
日本でよく用いられているのは次の式です。

DI=0.81×乾球気温+0.01×湿度×(0.99×乾球温度-14.3)+46.3

【不快指数(DI)】
55未満:寒い
55~60:肌寒い
60~70:快適
70~75:少し暑いかな
75~80:暑い
80~85:かなり暑い
85以上:暑くて我慢できない

東京でかなり暑かった日の例を取ると、
35℃で湿度が65%でしたので、不快指数は87.9となります(-_-;)……。

日本式天気のすべて(覚え方と細かい意味)

天気といえば、どんなものが思い浮かぶでしょうか☀☁☔❄

 

日本では天気を21種類に分けて考え、次の記号で表します。

中学二年の理科Ⅱでも、基本的なものは覚えると思います。

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【覚え方】

快晴 → 雲が「まったくない」

晴れ → 雲が「ひとつ」

雨  → 空が真っ暗(真っ黒)

雷  → 雨+上空が「光る」

みぞれ → 雨+雪

あられ → 「角ばった」氷の粒

ひょう → あられより強く当たると痛い。

雪   → ×(バツ)書いて横に一本、雪印


【天気の意味】

 快晴 → 雲が全天の1割以下。

 晴れ → 雲が全天の2~8割。

曇り → 雲が全天の9割以上。

雨強し → 1時間に15ミリ以上の雨。

にわか雨 → 積雲、積乱雲から降り、急に強まったり弱まったりする雨。

雪強し  →1時間に3ミリ以上の降水が雪として降っている状態。

霧   → 微小な浮遊水滴により視程が1km未満の状態。

       ※もや(靄)→ 視程が1km以上10km未満

        濃霧   → 視程が陸上で100m、海上で500m以下。

あられ(霰) →直径5mm未満の氷の粒が降っている状態。

        ※雪あられ →白色不透明。気温が0℃前後でよく降る。

        氷あられ →半透明または透明。積乱雲から降る。

ひょう(雹) →直径5mm以上の氷の粒が降っている状態。

        氷あられの大きなもの。

地吹雪   → 降り積もった雪が、強風で舞い上っている状態。

砂塵あらし →  塵や土砂が強風によって空中高く吹き上げられる現象。

みぞれ(霙)→ 雨と雪が混じって降っている状態。

煙霧    → 乾いた微粒子が浮遊していて、視程がおよそ10km未満。

ちり煙霧  →風で吹き上げられた小さな砂粒子(風塵)が浮遊している現象。