気象予報士2670号(金子大輔)の天気・気象ブログ

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1991年12月27日の大雪~大雪警報とともに止む……~

東京の大雪事例として、ちょっとおもしろい感じのケースを紹介します。

1991年12月27日、昼前から雨が降り始めました。雨は14時前後に雪へと代わり、夕方にかけて、かなり強い降り方になりました(最大で1時間に3.5ミリ)。しかも大粒のボタン雪でかなりの迫力……。

気象庁は東京地方に「大雪警報」を発表し、明朝までに20センチ積もるとしました。177で聞くと「今夜は、北の風、大雪でしょう」という、このとき一回しか聞いたことがないような予報を報じていたのが印象的です。

しかしその直後、雪は雨に変わってしまったという、なんともむなしい事例となりました。結果的に都心で1センチ、練馬区7センチ、熊谷4センチなど。

天気図を見ると、南岸低気圧に加えて、日本海に低気圧があるのが特徴的です。小さな副低気圧でなく、日本海にしっかりした低気圧があって大雪になった例は珍しいです。

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雪が激しかった時間帯の気温は1℃前後。大雪としては、やや高温下であったと言えます。降水が弱まるとともに昇温して雨に変わる、という傾向も顕著です。

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21時、関東南部の上空約1500メートルの気温は0℃以上、雪が降る状況としてはかなり気温が高いと言えます。

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午前9時の館野(茨城県)のエマグラムです。上空約1500メートルの気温は-3℃くらいなので、これなら雪が降ってもおかしくありません。

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しかし21時。上空約1500メートルから地表まで、ほぼプラスの気温となっています。これでは雪のまま落ちてくるのはかなり無理があります。日本海の低気圧接近に伴って急激に上空の気温が上がり、雨に変わってしまったのでしょう。

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